◎旧約聖書
旧約聖書の中には、世界宣教というのはないように思われますが、神の心には、全人類が救われることをいつも願い、そのために、選ばれた民、イスラエルがまず祝福され、この祝福されたイスラエルを通して、全人類が祝福されるというご計画がありました。
1. アブラハム
イスラエルの父と呼ばれるアブラハムは、創世記の12章で祝福を約束されました。
「その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:1〜3)
ここで神は、アブラハムの祝福(2節)と「地上のすべての民族は、あなたによって祝福される」(3節)を言われました。
他の場所では、「アブラハムは必ず大いなる国民となり、地のすべての国々は、彼によって祝福される」(創世記18:18)、「あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる」(創世記22:18)、「そしてわたしは、あなたの子孫を空の星のように増し加え、あなたの子孫に、これらの国々をみな与えよう。こうして地のすべての国々は、あなたの子孫によって祝福される」(創世記26:4)、「あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される」(創世記28:14)
これらのみことばから、アブラハムとイスラエルの祝福の目的は、地上のすべての民族が救われるためであったことがわかります。アブラハム、イスラエル民族だけが祝福されるのを望まれたのではなく、神に造られた全ての人々の救いでした。(その他にも地上のすべての国(々)について言及しているのは、T列王記8:60、U歴代誌32:13、詩篇67:2、イザヤ52:10等)
2. ラハブ、シェバの女王、ナアマン
ラハブは遊女(ヨシュア2:1)と呼ばれていたが、その背景は明らかにされていません。エリコにすんでいたのでユダヤ人ではないようですが、ヨシュアが遣わした斥候をかくまい、助けたのでイスラエルがエリコを聖絶するときに助けられ(ヨシュア6:17)、イスラエルに住み、救い主イエス・キリストの系図にまで記され(マタイ1:5)、他の新約聖書でも彼女は、滅びず(ヘブル11:31)、義とされた(ヤコブ2:25)といわれています。
シェバの女王が信仰を持ったかは、聖書で言及されていませんが、ソロモンを訪問することにより、その後、両国の交易が始まり、やがてエチオピア皇族のキリスト教信仰のきっかけとなり、使徒の働きのエチオピアの宦官の救いへと発展し、その後もエチオピアにおいて救いが広がりました。このように、神のエチオピア宣教の業は、シェバの女王から始まったのです。
ナアマンは、アラム(シリヤ)の王の将軍でした。らい病にかかっていましたが、神の人エリシャを通していやされ、「私は、今、イスラエルのほか、世界のどこにも神はおられないことを知りました。」(U列王記5:15)と告白し、ユダヤ人でない異邦人がまことの神を信じるようになったのです。
これらのように神の宣教の業は、旧約聖書の中でもユダヤ人以外の異邦人にも向けられています。
3. ヨナがニネベに遣わされる
ヨナ書には、ヨナがニネベに遣わされ、異邦人の町であるニネベの人々を悔い改めへと導きました。そして、神は、「わたしは、この大きな町ニネベを惜しまないでいられようか。そこには、右も左もわきまえない12万以上の人間と、数多くの家畜とがいるではないか。」(ヨナ書4:11)と神のニネベに対するお心を表しておられます。このようにすでに神は、旧約の時代にも宣教師を異邦人へと遣わされました。
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